ティク・ナット・ハン編

だいやめ座右の書的一冊

劇場公開が期待されるタイ師(ティク・ナット・ハン師)の「Walk with me」だが、現時点では日本公開は未定。どうもミニシアターでの上映になりそうな…

まあいずれにせよ、タイ師のご尊顔をシアターで見れるのは変わりはないわけで。

そんなわけで、第一回はティク・ナット・ハン師ものです。

 

まずはこれだろうか…

ブッダ<気づき>の瞑想・新泉社

マハーパリニッバーナ・スッタンタ(大般涅槃経)の
「この世で自らを島とし、自らをたよりとして、他人をたよりとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころにせずにあれ。」
仏教に親しみのある方ならご存知だろう。
そうお馴染の「自燈明・法燈明」のくだりである。

が、この後が実は重要で、
「では、修行僧が、自らを島とし、自らをたよりとして、他人をたよりとせず、法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころにしないでいるということは、どうして起こるのであるか?」
「アーナンダよ。ここに修行僧は、 身体ついて 身体を観じ、熱心に、よく気をつけて、念じていて、世間における貪欲と憂いを除くべきである。」
と続いているのをご存じだろうか?
そうここから四念処の”身・受・心・法”が説かれるのである。

四念処経そのものの翻訳は中村元博士の原始仏典(中部シリーズ)や片山一良先生の中部経典で読むことはできるが、あくまでも翻訳に徹しており、具体的に何をすればいいのかの手ほどきはもちろんない。
当書は”その何をすればいいのか”をタイ師が優しく手ほどきしてくれる本である。

ちなみに現在、念処経の解説書はこれと前述の
片山一良先生著「パーリ仏典にブッダの禅定を学ぶ―『大念処経』を読む 2700円」

スマナサーラ氏著の大念処経 (初期仏教経典解説シリーズ 4212円)
しかない。

さて内容というと四念処経に大乗思想を加えての解説、実践となっている。つまり四念処+大乗思想が加わって、タイ師のマンドフルネスが出来上がっているのがおわかりかと思う。
もちろん原文も掲載されているので、釈尊がなんと説かれたのかも純粋に参照できる。
翻訳は優しい口調で定評のある島田啓介氏だが、禅僧でもある山端法玄氏も携わっている。

瞑想ブームではあるが、実は根本経典である”四念処経”やアーナパーナ・サティスッタ(安般念経)を読んでいない人を散見する。
ヴィパッサナーのメソッドだけが先行しがちで、何をしているのかが解っていない人もいるようだ。
そんな方へもお勧めする一冊でもある。
難解な表現等もなく、瞑想初心者でも十分読み進められるかと思う。

 

ブッダ<呼吸の瞑想>・新泉社

ブッダ<気づきの瞑想>に引き続き、二作目のこちらは呼吸の瞑想。
そうアーナパーナサティ・スッタ(安般念経)の解説書となる。

 

翻訳は前作と同様、島田啓介氏。
島田氏の翻訳はティク・ナット・ハン師の人柄を感じさせられ、まるで日本語で説かれているような錯覚にさえ墜ちること受け合いだ。

ちなみに最初は
「息を吸いながら、息を吸っていることを知る。息を吐きながら、息を吐いていることを知る」
ここからすべてが始まるのだ。

こちらも前作と同様、難解な表現等もなく、瞑想初心者でも十分読み進められる。
サティパッターナ・スッタ(ブッダ気づきの瞑想)とともにセットでどうぞ。

 

禅への鍵・春秋社

上記二冊は瞑想色が強いが、こちらはタイ師の本領?である禅のお話。タイ師の著作に触れて禅へ興味を持たれた方にはお薦め。タイ師が禅の何たるかを解説している。

訳者が上記二冊と違うせいか、かなり厳しい印象を受ける(訳は曹洞宗の藤田一照氏)。
外人向けに書かれているせいか、日本で言う禅的な匂いは感じられないと思う。
ロジカルに解説されているので、理屈で考えられる方は読みやすい一冊かと。